【三浦の短編ダイエット小説】わたしには時間がないの
「わたしには時間がないの」
切ない顔をして
彼女はそう述べた。
「来月の親友の結婚式までに」
話を聞くと、確かに時間がない。
彼女の希望は、
来月の親友の結婚式までに
15キロ痩せたいと言う希望だった。
いや待って、お前何しててん。
結婚式の予定って
半年前には決まってるやん。
4ヶ月何しててん。
「え、無理なの?」
彼女は苛立ちを隠さず、
僕を問い詰めた。
場所はスイーツ食べ放題の店だ。
「わかった。絶食する」
時間がないのであれば
最強に極端な食生活だが、
体重が15キロは落ちるかもしれない
ただ、筋肉が落ちるリスクも高い。
やめたほうがいいと、僕は伝えた。
しかし、彼女は聴く耳を持たない。
「私が恥をかいたらどうするの?」
僕はポリポリとこめかみあたりを
かきながら心の中で「知らんがな」と
気づけばつぶやいていた。
わかったよ。がんばりなよ。
と、彼女に伝えた。
でも、痩せた後も
食生活をケアしないと太るよ。
リバウンドするから、気をつけてね
と、優しく諭した。
「は?なんで痩せた後もがんばるの?」
どうやら彼女は知らないらしい
世の中の8割はリバウンドすることを。
そして、
その理由が食生活だと言うことを。
世の中の大半が勘違いしている。
痩せた後も、
太らない食生活をしなければ
人間は太るということ。
そもそも考えて欲しい
太った理由は食べ過ぎだ
痩せたからといって
食べ過ぎた生活に戻せば
太ると想像つかないかい?
喉元まで、そんな言葉が出た。
そんなこと言ったら、
スイーツの皿が飛んできそうだったので
僕は苦笑いをして
窓の外を眺めた。
彼女は2週目の
バイキング旅行に出かけた。