脂肪は「燃えて消える」のではなく
「酸化されて空気になる」
── そして加工食品は、その流れを静かに邪魔する
ダイエットの話になると、
今でもよく聞く表現があります。
「運動して脂肪を燃やしましょう」
間違いではありません。
でも、正確でもありません。
なぜなら、体脂肪は
🔥燃えて消える
のではなく、
🫁酸化されて、空気になって体の外へ出ていく
からです。
しかもこの流れ、
かなり繊細で、
ちょっとした生活習慣で簡単に止まります。
今日はその全体像を、
血糖値・インスリン・加工食品まで含めて整理します。
体脂肪の正体は「中性脂肪」
まず前提。
体脂肪の正体は
**中性脂肪(トリグリセリド)**です。
これは、
・脂肪酸 × 3
・グリセロール × 1
でできており、
脂肪細胞の中に「エネルギー貯金」として蓄えられています。
脂肪が減る最初の一歩は「分解」
体脂肪が減るとき、
最初に起きるのは分解です。
脂肪細胞の中で、
中性脂肪
→ 脂肪酸 + グリセロール
に分解され、血液中へ放出されます。
ここで多くの人が勘違いします。
分解された=痩せた
これは違います。
これはただ
使える形にほどけただけ。
まだ脂肪は、体の中にあります。
本当に脂肪が減るのは「酸化されたとき」
分解された脂肪酸は、
・筋肉
・肝臓
などの細胞に運ばれ、
ミトコンドリアという場所に入ります。
ここで起きるのが、
脂肪の酸化です。
脂肪酸は、
・β酸化
・TCA回路
・電子伝達系
を経て、
・二酸化炭素(CO₂)
・水(H₂O)
・エネルギー(ATP)
になります。
脂肪はどこへ消えるのか?
ここが一番おもしろい事実。
体脂肪の約80%以上は
二酸化炭素となり、吐く息として体外に出ます。
つまり、
痩せる =
体脂肪を「吐いている」
汗でも、便でもなく、
ほとんどは呼吸。
脂肪は
燃えカスになるのではなく、
空気になる。
これが生化学的な現実です。
では、なぜ脂肪が「空気にならない人」がいるのか
ここで登場するのが
血糖値とインスリンです。
血糖値が上がると何が起きるか
糖質を食べる
→ 血糖値が上がる
→ 膵臓からインスリンが分泌される
インスリンの役割は、
・血糖を下げる
・エネルギーを貯める
・脂肪を守る
つまり、
インスリンが高い
= 脂肪は使うな、しまっておけ
という状態。
インスリンが高いと脂肪は酸化できない
インスリンが高い間、
・脂肪は分解されにくい
・脂肪酸はミトコンドリアに入りにくい
つまり、
脂肪は
「空気になるスタートライン」に立てない
状態になります。
ここが
「頑張っているのに痩せない」
最大の理由です。
加工食品がこの流れを邪魔する理由
では本題。
なぜ加工食品は、
この美しい「脂肪→空気」の流れを邪魔するのか。
理由は一つではありません。
① 血糖値を急激に上げやすい
加工食品は、
・精製糖質
・粉砕・液体化
・咀嚼が少ない
ものが多く、
吸収が異常に速い。
結果、
・血糖値が急上昇
・インスリン大量分泌
・脂肪分解が止まる
② インスリンが下がる時間を奪う
加工食品は、
・間食になりやすい
・少量でも食べやすい
・満足感が弱い
その結果、
・常に何か食べている
・インスリンが下がらない
👉 脂肪を酸化できる時間が消える
③ 栄養密度が低い
加工食品は、
・カロリーは高い
・ビタミン・ミネラルは少ない
体はこう感じます。
エネルギーは足りてる
でも、材料が足りない
結果、
・食欲が止まらない
・さらに食べる
・インスリンが出続ける
完全な悪循環です。
④ 脳を過剰に刺激する
加工食品は、
・甘味
・脂質
・塩味
を同時に強く刺激します。
これは、
・満腹感より
・「もっと欲しい」を優先させる設計
意思の問題ではありません。
同じカロリーでも結果が違う理由
500kcalの加工食品と
500kcalの自然な食事。
数字は同じでも、
・血糖反応
・インスリン分泌
・脂肪の扱われ方
がまったく違います。
カロリーは「結果の数字」
体脂肪を左右するのは「体内ルート」
ダイエットの本質
ダイエットとは、
・どれだけ運動したか
・どれだけ我慢したか
ではなく、
脂肪が酸化される時間を
どれだけ作れたか
です。
脂肪は、
・分解され
・使われ
・酸化され
・呼吸として出ていく
この流れが回って、初めて減ります。
加工食品は、
この流れを
静かに、確実に止める。
まとめ
脂肪は、
・燃えて消えるものではない
・酸化されて、空気になるもの
そして、
・血糖値
・インスリン
・食品の質
が、その運命を決めています。
体脂肪は嘘をつきません。
物理法則どおりにしか減りません。
だからこそ、
根性ではなく、仕組み。
この視点を持つだけで、
ダイエットは一気にラクになります。







