食べる前に動くと、なぜ血糖値は穏やかになるのか
── そして「糖質代謝能力」はどうやって上がるのか
糖質を摂ると血糖値が上がる。
これは避けられない事実です。
ただし、ここで一つ誤解されがちなことがあります。
血糖値が上がりやすい=糖質代謝能力が低い
とは、必ずしもイコールではありません。
むしろ多いのは、
「糖質を避け続けた結果、糖質を“処理する回路”を使わなくなっている」
このケースです。
血糖値が上がる=代謝が悪い、ではない
まず大前提として。
血糖値が一時的に上がること自体は、
異常でも失敗でもありません。
問題なのは、
・上がりすぎる
・下がるまでに時間がかかる
・乱高下する
こういった「処理能力の低さ」です。
ここで言う処理能力こそが、
糖質代謝能力です。
糖質代謝能力とは何か?
かなりシンプルに言うと、
糖を必要な場所に、必要なタイミングで、きれいに使える力
これが糖質代謝能力。
この能力は、
・生まれつき固定
・年齢で決まる
ものではなく、
使えば上がるし、使わなければ落ちる
という性質を持っています。
極端な糖質制限で起きやすいこと
糖質をかなり長く・厳しく制限すると、
体はとても賢いので、
「糖、あまり使わないな」
→「じゃあ脂肪とケトンで回そう」
と、代謝の優先順位を切り替えます。
これは決して悪いことではありません。
ただし同時に、
・糖を取り込む回路
・糖を素早く処理する経験値
が一時的に下がることがあります。
その結果、
「久しぶりに糖質を食べたら血糖が上がりやすい」
という現象が起きる。
これは
壊れたのではなく、使っていなかっただけ
というケースがほとんどです。
じゃあ糖質代謝能力は、どうやって上がるのか?
ここで今日の本題につながります。
答えはシンプルで、
「糖を使う準備をしてから、糖を入れる」
この繰り返しです。
食前の運動は「糖質代謝能力のトレーニング」
食事前に軽く体を動かすと、
筋肉では
GLUT4(糖の取り込み口)が表に出てきます。
しかもこれは、
インスリンに頼らない取り込み経路。
つまり、
・食前に動く
・筋肉が糖を受け取る準備をする
・糖質を摂る
・血糖が筋肉にスムーズに流れる
この流れができる。
これを繰り返すことで、
✔ 血糖値のピークが低くなる
✔ 血糖が下がるまでの時間が短くなる
✔ インスリンに頼りすぎなくなる
結果として、
糖質代謝能力そのものが鍛えられていく
というわけです。
重要なのは「避ける」より「処理する」
糖質を完全に避け続けると、
・血糖は上がらない
・でも処理能力は育たない
という状態になります。
一方で、
・動く
・少量〜適量の糖質を入れる
・きれいに処理できる
これを積み重ねると、
糖質を食べても乱れにくい身体
になっていく。
これは「根性論」ではなく、
代謝の使い分けがうまくなる=代謝柔軟性が上がる
という話です。
どんな運動がベストか(再確認)
やることはシンプル。
・スクワット
・もも上げ
・軽い腕立て
などを5〜10分。
余裕があれば、
・早歩き
・階段昇降
を5〜15分。
頑張りすぎないことが、いちばん重要。
ハードすぎる運動は
一時的に血糖を上げることもあるので、
目的はあくまで「準備」です。
糖質は、扱えるようになると怖くない
糖質は敵ではありません。
ただし、
・動かない
・代謝が固まっている
・受け皿が小さい
この状態で入れると、
問題が起きやすいだけ。
身体側の準備が整っていれば、
糖質はむしろ扱いやすいエネルギーです。
まとめ
・糖質代謝能力は使えば上がる
・食前の軽い運動は最高の準備
・血糖値を下げるより「処理力」を上げる
・糖質を避け続ける必要はない
糖質を減らすフェーズも大事。
でも最終的には、
糖質をうまく扱える身体を作ること。
これが、
一生続く現実的な答えだと思っています。








